こんにちは。ニコです。
- 海外赴任が決まったけど、子供の学校どう選ぼう?
- 日本人学校 vs インター校 vs 現地校 それぞれの特徴、メリット・デメリットは?
- 結局どうやって選べばいいの?おすすめの選び方のポイントは?
現役の海外駐在員で2人の男の子のパパであるニコが、自分の体験をもとにこんな悩みに答えます。
海外赴任先の学校の特徴【メリット・デメリット】
学校の種類は海外赴任先の状況にもよりますが、通常以下の3種類の学校があり、この中から選ぶことになります。
- 日本人学校
- インター校
- 現地校
それぞれの学校の特徴とメリット・デメリットについてお伝えしていきます。
1.日本人学校の特徴【メリット・デメリット】
特徴
日本人学校は、日本語で日本と変わらない教育を受けることができるのが大きな特徴です。海外に設置されているという特色から英語教育にも力を入れていることが多く、日本の公立学校と比べるとより進んだ英語教育を受けることができます。
日本人学校は、国内の小学校、中学校又は高等学校における教育と同等の教育を行うことを目的とする、全日制の教育施設です。一般に現地の日本人会等が主体となって設立され、その運営は日本人会等や進出企業の代表者、保護者の代表などからなる学校運営委員会によって行われています。昭和31年(1956年)にタイのバンコクに設置されて以来、令和2年4月15日現在では、世界50カ国・1地域に95校が設置されており、約1万7千人が学んでいます。なお、平成23年(2011年)には、中国の上海日本人学校に高等部が開設されました。
引用元:文部科学省HP
日本人学校は、文部科学大臣から、国内の小学校、中学校、若しくは高等学校と同等の教育課程を有する旨の認定を受けており、日本人学校中学部卒業者は、国内の高等学校の入学資格を、高等部卒業者は、国内の大学の入学資格をそれぞれ有します。教育課程は、原則的に国内の学習指導要領に基づき、教科書も国内で使用されているものが用いられています。
現在、多くの日本人学校においては、現地の文化や歴史、地理など現地事情に関わる学習や現地校等との交流を積極的に進めており、ネイティブの講師による英会話あるいは現地語の学習も行われています。また、「国際学級」を設け、外国人の子どもを受け入れている学校もあります。
日本人学校の先生達は選抜されて赴任してきているため、優秀でモチベーションの高い先生が多いです。
また、日本人学校に通う子供達は優秀な子が多いです。これは海外赴任になる親がそもそもエリートであることが多いためだと言われています。海外にいるという環境から日本の学校よりも子供達の連帯感が強く、クラスでいじめが発生しにくいのも特徴です。
なお、赴任先の状況によっても違いますが、ひとクラスの人数も20~30人と日本の公立学校と比べて少ないことが多く、そのため、質の高い教育を受けることが可能です。
メリット
日本語で授業をうけることができ、子供にとってストレスが少ない
日本を離れ、海外に住むということ自体が子供や家族にとって大きなストレスです。日本語で授業を受けることができるのは、子供に更なるストレスを与えないという点で大きなメリットです。また、家族にとっても先生や保護者とのコミュニケーションが日本語でできるため、ストレスがありません。
子どもの頃は母国語の基盤を作る大事な時期でもあります。日本語の力をしっかりと高めることができるのも大きな魅力です。
日本と同等の教育を受けることができるため、帰国後スムーズに日本の学校に復帰できる。進学の面で心配が少ない。
日本と同じ内容の授業を受けることができ、帰国後もスムーズに授業についていくことができます。先に述べたようにむしろ日本より質の高い教育を受けることができるため、高校受験や大学受験においても特に心配する点はありません。
費用がインター校に比べると安い
日本人学校は企業の代表者からなる現地の日本人会や商工会などで運営されており、無料ではありません。私の子供はベトナムの日本人学校の小学部に通っていますが、年間80万円程度の授業料がかかります。これを安いと言えるかどうかは微妙ですが、授業料が年間数百万円のインター校と比べると費用がかかりません。
なお、駐在の場合、会社が日本人学校の授業料を全額負担することがほとんどで、私の場合も実質授業料はゼロです。
デメリット
英語がしゃべれるようにはならない
日本の学校に比べると質の高い英語教育を受けることはできますが、それでも英語を使う機会は限られているため、英語をしゃべれるようにはなりません。
ただし、日常生活でも英語に触れる機会はありますし、子どもの英語に対する意識は高くなります。会社によっては家族の語学学習の費用補助を出すところもあるため、私の周りでは英語のレッスン教室に通っている子どもも多いですね。
ちなみに私の子どもの場合、会社からの補助もないため特に通わせていません。本人のやる気がでたら通わせようと思いますが、無理強いはしていません。
海外という特色を活かせない
良くも悪くも日本と同じ環境で授業を受けるため、外国人の友達ができたり、多様な文化に触れるという機会はあまりありません。せっかく海外にいるのにその特色を活かせないのはもったいないという気持ちになるかもしれませんね。
ただ、日本人学校でも現地の文化に触れたり、交流するなどの取り組みは行っています。また、習い事で外国人のスポーツチームに入れるなど多様な文化に触れる機会を増やすことも可能です。
中学部までしかないことが多い
赴任先によっては小学部と中学部までしかないことがあります。そのため、高校に進学する際、帰国するかインター校に入れるかを決めなくてはなりません。高校からいきなりインター校に入るのはハードルが高いため、自分の滞在期間や今後の赴任先、子供の進路を踏まえて日本人学校に入れるかどうかを考える必要があります。
給食がない
これもそれぞれの赴任先で事情が異なるとは思いますが、日本のように給食がないことがほとんどです。家庭からの弁当持参が基本で、親にとって負担になります。学校によっては弁当屋さんと提携して、弁当を注文できるところもあったりします。
なお、インター校だと食堂があることが多いですが、ランチ代が高額なのが通常です。
2.インター校の特徴【メリット・デメリット】
特徴
インター校は現地国とは違う他国の教育プログラム(アメリカ式・イギリス式・国際バカロレア式等)に基づいて行われるおもに外国人のための学校で、基本的に英語で授業が行われます。
入学前に語学力の試験や保護者との面接があるなど、一定程度の英語力を求められることが一般的です。
卒業時に得られる卒業認定資格はそれぞれの教育システムや国際的な学校認可を受けているかどうかによって変わります。国際的な卒業資格としては国際バカロレア(International Baccalaureate = IB)が有名で、同プログラムに参加している学校では卒業資格(ディプロマ)を得ることができ、その成績次第で試験免除を設けている大学もあります。私の知り合いの子供さんも帰国後、このバカロレアによって試験免除で有名大学に進学しました。
メリット
英語をしゃべれるようになる
授業も友達とのコミュニケーションも全て英語で行われるため、必然的に英語が身に付きます。大人になってネイティブに近い発音を身に着けるのは困難なことが多く、子どものうちから英語を使う環境にいることで流暢な発音を身に着けることが可能です。
ただし、英語習得までにかかる時間は子どもの年齢次第です。小学校低学年であればあまり問題はないでしょうが、小学校高学年から編入する場合、クラスに馴染むことができなかったり授業についていけないケースもあります。
なお、英語は使う機会がなければどんどん英語力が低下します。子どもはとくにその傾向が強く、帰国後も英語力の維持のために学習を継続する必要があります。私の同僚は帰国後も子どもにオンライン英会話を受けさせて英語力を維持しています。
国際的な感覚を身に着けることができる
色々な国の子供達と生活を共にすることで、個性を尊重する文化や失敗をおそれずに積極的に行動するなど国際的な感覚を身に着けることができます。
IT能力(リテラシー)の向上
インター校では日本の教育に比べてタブレットやパソコンなどIT機器を使った教育が進んでいます。学校によっては生徒一人に一台パソコンを持たせる(買わせる)ところもあります。
宿題もパソコンで提出させたり、プレゼンをさせたり、実際にビジネスで使える能力を子どものうちから身に着けていくことができます。
デメリット
費用が高い
インター校の学費は高額です。授業料だけで年間200~300万円程度かかります。その他、施設利用料や教材費も上乗せされるため、金銭的な負担が大きいというデメリットがあります。
日本人学校であれば会社が全額負担してくれるのが通常ですが、インター校の場合は会社は一部しか負担しないことがほとんどです。私の場合、同僚がインター校に子供を通わせていますが、インター校と日本人学校の授業料の差額分(年間200万円程度)を自己負担しています。
日本語力の低下
英語力が身につく代わりに、日本語力が低下します。家庭内は日本語だから大丈夫と思われるかもしれませんが、日本語で学ぶ機会が減ることは思考能力の基盤となる母国語の習得に影響を与えます。
主にインターに通う生徒向けに日本語補習校もあります。ベトナムの場合だと、日本人学校で土曜日の午前中に補習校を開催していて、国語・算数・数学のクラスを受講することができます。公立校ではなく私立のため、別途学費が必要になります。
帰国後、日本の教育についていけない
インター校は日本とは異なる教育課程のため、帰国後、日本の学校で授業についていくのが難しくなります。特に影響が大きいのが国語、算数、社会。
算数も?と思うかもしれませんが、算数のレベルは日本が全般的に上で、インター校は日本に比べて算数の進度が遅いのが一般的です。
私の同僚は、帰国後、子どもの英語以外の成績の落ち込みがひどい、将来が心配と悩んでいました。インター校に入れる際には、事前に帰国後の進路をしっかりと検討することが必要です。
親の負担が大きい
インター校では親の負担も増えます。学校・保護者・子どもの友達とのやりとりも全て英語になります。入学前に面接があるなど、親もある程度英語がつかえる必要があります。
また、各学校の状況にもよりますが、日本人学校と比べて大量かつ難しい宿題がだされ、親のフォローが必要になるケースもよく耳にします。私の友人も子どもの宿題につきっきりで大変だったと言っていました。
3.現地校の特徴【メリット・デメリット】
特徴
現地校(ローカル校)とは現地国の子どもが通っている学校です。その国の教育課程に沿って現地語で授業が行われます。アメリカなど英語圏では英語で授業が行われますので、インター校ではなく現地校が有力な候補の一つになるでしょう。
メリット
費用が安い
現地校は基本的に現地の子どもが通う学校であり、費用が安いのがメリットです。
比較すると、現地校<日本人学校<インター校 の順番で費用が安くなり、現地校が最も費用が安くなります。
現地語が習得できる
現地語を習得できるのが現地校の一番のメリットです。欧州やアジアなど非英語圏で子どもに現地語を習得させたいというのであれば現地校が有力な候補になるでしょう。英語以外の言語が喋れるというのは大きな強みになります。英語が喋れる日本人は沢山いますが、それ以外の言語を喋れる人は少ないため、貴重です。
デメリット
子ども・親の負担が大きい
年齢にもよりますが、子どもの負担とストレスは大きなものになります。親の温かいフォローが必要です。また、親にとっても学校や保護者とのやりとりが現地語になるため、現地語に慣れていない場合はかなりの負担となります。
赴任先によっては教育レベルが低い
東南アジアなど、先進国でない国の場合は教育レベルが低いことがあります。今後の子どもの進路を踏まえてしっかりとした見極めが必要です。
日本語力の低下
インター校と同じですが、日本語力が低下するため、対策が必要です。週一の日本語補習校ではカバーしきれないので、塾や家庭内での本の読み聞かせなどが欠かせません。場合によっては塾代等の費用がかさむケースもあります。
帰国後、授業についていけない
こちらもインター校と同じく、教育課程が日本と異なるため、帰国後日本の授業についていけません。帰国後の進路をしっかりと検討することが必要です。
おすすめの選び方 結局どっちが良いの?
私の経験からおすすめの選び方についてお伝えします。
まず、駐在の場合、一般的には日本人学校が基本になると考えてください。
日本を離れ、海外に住むことは子どもや家庭にとってそれだけでストレスです。その上、言語が通じない環境におかれることは大きな負担となります。
また、幼少期に母国語の基礎をしっかりと固めておかないと軸となる言語が働かず、思考伝達能力・学習能力に大きな影響を与えます。セミリンガル・ダブルリミテッドと呼ばれ、日本語も英語も中途半端で、学力がどんなに努力をしても身につかなくなります。
母国語の確立が第二言語の習得に効果的に働くとの研究もあります。私の妻は、高校で海外に一年間留学しましたが、ネイティブに近い発音で話せます。英語を習得するのは焦る必要はありません。まずは母国語でしっかり学習させましょう。
それに英語は世界中でそれぞれの独自の発音で話されている言語です。ネイティブの発音にこだわっているのは日本人くらいで、他国の人はそんなにこだわってません。伝わればそれで良いのです。
一方、インター校や現地校がおすすめできるのは滞在期間が長くなる人、今後も海外に赴任の予定がありしばらく日本に帰国する予定がない人などです。
日本人学校は高等部がないことがほとんどなので、子どもの年齢や今後の進路を踏まえてインター校を選ぶというのが選択肢になります。その際も日本語に対する親のフォローが必要です。
私の場合は、以下のポイントで日本人学校に決めました。
- 子どもには日本の大学に進学して欲しい。大学卒業後もできれば地元に住んで欲しい
- 母国語の習得を優先させたい
- インター校は費用が高い
まとめ
どの学校を選ぶかは、自分のキャリアプランや子どもの年齢と今後の進路やどのような仕事について欲しいのかをよく考えることが大事です。英語がしゃべれるようになって欲しいということにとらわれ過ぎると結局子どもにとって良くない結果となることもあります。
もし選んだ学校が合わないと感じたら途中から変更することも可能ですので、焦らずに家族と話し合って決めましょう。
なお、海外在住時のおすすめの通信教育についても記事を書いてますのでこちらも参考にして下さい。